脂質

脂肪酸合成経路

多くの組織(肝臓、腎臓、脳、肺、乳腺、脂肪組織など)に存在する。NADPH、ATP、マンガンイオン、ビオチン、炭酸イオンが必要である。アセチルCoAが直接の基質で、遊離パルミチン酸が最終産物となる。 ラットでは脂肪組織と肝臓で反応が進むが、ヒトでは脂…

ラフト

脂質ラフト 細胞膜上に形成されるスフィンゴ脂質とコレステロールに富む膜ドメインを指す。 脂質分子間の物理的相互作用により形成されると考えられている。 GPIアンカー型タンパク質やアシル化修飾されたタンパク質などが集積すると考えられ、細胞膜という…

シクロオキシゲナーゼ

EC 1.14.99.1 正しくは、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ。 シス二重結合を有する多価不飽和脂肪酸(C20)に2分子の酸素を導入添加し、15位にヒドロペルオキシドを有するプロスタグランジンGを生成(シクロオキシゲナーゼ反応)と15位のペ…

ロイコトリエン(LT)

定義と分類 エイコサポリエン酸(アラキドン酸など)から合成される一連の生理活性物質のひとつ。 C5に酸素が結合し、3つの共役二重結合をもつ。 A〜Fの6つの型と類縁体がある。二重結合の数により3,4,5群と呼ばれる。 合成経路 リポキシゲナーゼの作用…

ホスファチジルセリン

L-セリンリン酸を極性基とするグリセロリン脂質。 動物細胞では、脂質二重層の内側に存在する。外側からフリップフロップで内側に移動させている。 血液凝固反応の補助因子として働く。

ホスファチジルグリセロール

イカダモ(藻類)の細胞で主要なリン脂質である。生物界に広く存在し、微生物では主成分となっている場合がある。 ホスファチジルグリセロールリン酸が脱リン酸を受けて生じる。 ジホスファチジルグリセロール(カルジオリピン)やあグリコシルホスファチジ…

Fabry病

トリヘキソシルセラミド蓄積症。 αガラクトシダーゼA欠損による。 伴性劣性遺伝(スフィンゴリピドーシスで唯一) 中枢神経症状がない。 思春期以降に四肢の疼痛、皮膚症状、心血管障害、腎障害を発症する。 トリヘキソシルセラミド 三個のヘキソースを持つ…

Tay-Sachs病

β-N-アセチルヘキソサミニダーゼ欠損症。 GM2蓄積症。進行性の中枢神経症状を示す。限定のチェリーレッドスポットは特徴的所見。 常染色体劣性遺伝で、脳組織にGM2ガングリオシドの著しい細胞内蓄積を認める。

ガングリオシド

シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質の総称。大脳灰白質に多く見出される。 一般にシアル酸は糖鎖構造の末端に存在する。 ガングリオシドは細胞表面に存在して細胞表面の陰性電荷に寄与している。細胞識別、細胞基質相互作用、その他増殖因子受容体機能の修飾、…

セレブロシド

ガラクトセレブロシド(ガラクトシルセラミド)のことをいう。グルコセレブロシドを含めることがある。 スフィンゴ糖脂質である。 セラミドの第一級アルコール性ヒドロキシル基にガラクトースがβグリコシド結合したもの。 脳組織、特に白質に多い。 セレブロ…

スフィンゴミエリン

セラミドの第一級アルコール性ヒドロキシル基とコリンリン酸のリン酸ジエステル結合したもの。スフィンゴ脂質であり、かつリン脂質である。 スフィンゴミエリンとレシチンの比率は動物種によって大きく異なる。赤血球膜でヒトでは1:1の比率である。 C18ス…

コリン

ビリノイリン、シンカリン、アマニチンなどの別名を持つ。 発見者が胆汁から単離したため、この名前がある。広く動植物に分布し、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、アセチルコリン、ビタミンBの構成要素となる。 動物組織は植物由来のリン脂質の…

必須脂肪酸

かつてはビタミンFとされていた。 自信の生理代謝過程に必須であるが、自分では合成出来ない分子種である。 ヒトの場合、多価不飽和脂肪酸のうち、ω-3とω-6系列の脂肪酸が該当する。 ヒト、及び動物細胞にはΔ15、Δ12-不飽和化酵素が無いため、リノール酸(1…

プレニル基

炭素数5のイソプレン単位で出来ている構造の総称。 イソプレン単位の数により、ゲラニル(2個)ファルネシル(3個)ゲラニルゲラニル(4個)と呼ぶ。

カルニチン

骨格筋の乾燥重量の0.1%を占めるが、全身の臓器に存在する。 合成はタンパク質中のリシン残基がトリメチルリシンとなり、切り出される。 長鎖脂肪酸のミトコンドリアマトリックスの移動はカルニチンに完全に依存するため、β酸化はカルニチンの濃度が律速とな…

セレブロシド

通常はガラクトセレブロシドのこと。 最初に発見されたスフィンゴ糖脂質。 セラミドの第一級アルコール性水酸基にガラクトースがβグリコシド結合したもの。 脳白質に特に多量に存在する。(乾燥重量の10%)

スルファチド

セレブロシドの硫酸エステル。セレブロシドのガラクトースC3位に硫酸がエステル結合している。 脳白質に多い。嚢中に存在する硫黄を含有する脂質。 塩基性タンパク質と特異的に結合している。

プラズマローゲン

エーテルリン脂質のひとつ。 ジアシル型リン脂質と類似の構造をもつが、1位に脂肪鎖がビニルエーテル結合している。エタノラミンをもつものが最多。(エタノラミンプラズマローゲン)他にセリン、コリンなどもある。 脳、心臓、好中球、マクロファージに多…

リゾホスファチジン酸

1-アシル(または2-アシル)グリセロール3-リン酸のこと。 グリセロール三リン酸のアシル化、または膜リン脂質のホスホリパーゼによる分解により生じる。 細胞増殖促進作用をもち、活性化された血小板から多量に放出され、創傷治癒に関与する。 リゾレシチン…

スフィンゴシン

sphingosine スフィンゴ脂質に含まれる長鎖塩基の一種。炭素数18の長鎖アミノアルコール。

セラミド

N-アシルスフィンゴシン スフィンゴイド塩基のアミノ基に脂肪酸が酸アミド結合したもの。狭義にはスフィンゴシンのアミノ基に脂肪酸が酸アミド結合したものを指し、ジヒドロセラミドやフィトセラミドと区別する場合がある。 スフィンゴ糖脂質、スフィンゴリ…

スフィンゴリピドーシス

遺伝性スフィンゴ脂質蓄積症の総称。 スフィンゴ脂質は、セラミドに糖鎖、またはコリンリン酸がけ都合した脂質であり、細胞膜の構成成分であるが、分解過程の酵素欠損により蓄積症が生ずる。 一般に乳児期に発症するが、まれに学童期以降に発症し長い経過を…

スフィンゴミエリン

sphingomyelin セラミドの第一級アルコール性ヒドロキシ基とコリンリン酸がホスホジエステル結合したもの。 スフィンゴ脂質であり、かつリン脂質である。 「ミエリンを固く縛るもの」の意味。 脳のみならず,広く臓器組織に存在する。赤血球膜のスフィンゴミ…

抱合胆汁酸

胆汁酸は肝臓で生合成され、タウリンまたはグリシンと抱合反応の後、胆汁中に分泌される。大部分は回腸末端から吸収され、肝臓に戻される。 一部は腸内細菌により脱抱合され、再吸収されるか、糞便中に排泄される。(腸肝循環) グリシンとタウリンによる抱…

タウリン

2-アミノエタンスルホン酸。正常な尿中排泄物。 システインの主要酸化生成物。 胆汁中でコール酸と縮合してタウロコール酸として存在する。

コレステロールエステル

コレステロールの3β位の水酸基が脂肪酸とエステル結合したもの

ろう

高級脂肪酸と一価または2価の高級アルコールとのエステル。 融点が高く、常温では固体。 広義には似た性状を示す中性脂肪、炭化水素なども含める。 蝋燭として証明に用いられてきた。 蜜蝋 ミツバチが腹部の蝋線から分泌する。主成分は、セロチン酸 CH3(CH2…

脂肪酸の炭素番号

炭素番号はカルボキシル基の炭素を1番として、順に付ける。 二重結合は∆の右肩に番号を付ける。(2と3の間なら∆2) カルボキシル基の反対側の末端の炭素をω炭素という 末端から数える場合、ωに番号を振る 結合を表す場合、ω6はω6-7の間という意味 炭素数…

グリココール酸

抱合胆汁酸。 コール酸とグリシンがアミド結合したもの。