分子生物学

チェックポイントコントロール

Hartwell L., 1989 負のフィードバックより成る細胞周期の監視システム。 DNAの損傷、未複製、分裂中期紡錘体赤道面への染色体の未整列などを感知した場合、細胞周期の進行を停止させ、正常状態への復帰を促すことで、細胞周期の順序、染色体の複製、分配の…

がん原遺伝子とがん抑制遺伝子

がん原遺伝子 変異遺伝子の機能変化が細胞の分裂や増殖に対して異常な刺激となる。機能獲得型変異である。 RET 多発性内分泌腺腫症2型。グリア細胞経由来神経栄養因子(GDNF)とニュールツリンの受容体チロシンキナーゼ。 RAS 膀胱がん由来細胞より見出され…

Rasタンパク質

ras遺伝子によりコードされる低分子量GTP結合タンパク質。哺乳動物ではH-Ras, K-Ras, N-Rasの三種類で分子量は21000。 C末端から4番目のシステインにファルネシル化が起こり、残り三つのアミノ酸が切り取られ、システインのカルボキシ基がカルボキシメチル…

ホメオドメイン

ホメオボックスともいう。 多くの真核生物のエキソン上に見出される相同性の高い180塩基対よりなる塩基配列。 ショウジョウバエのホメオティック遺伝子、など。多くの転写調節因子のDNA結合ドメインとして機能している。 60アミノ酸よりなるホメオドメインは…

トランスロケーション

転位ともいう。 タンパク質生合成におけるポリペプチド鎖伸長反応の部分反応。 ペプチジルtRNAのリボソームA部位からP部位への移動 mRNAのリボソーム上での1コドン分の移動 リボソームP部位からの脱アシルtRNAの遊離 以上3つの反応が共役して起こる。伸長…

終止コドン

アミノ酸をコードせず、リボソームにポリペプチド鎖の延長を終結させるシグナル。 UAG, UAA, UGAの3通りある。 UAGの発見者のドイツ人Bernsteinの名前の意味はコハク(Amber)。以下残る二つのUAAオーカー(Och 黄土)、UGAオパール(Opa)はアンバーの語呂…

Rec遺伝子

組換え遺伝子。早々的組換えに関与する大腸菌の遺伝子群。組換えのみ成らず、SOS応答の誘発も支配する。 一本鎖DNAに結合するATP分解酵素。lexAに対するプロテアーゼ活性ももつ。 RecBCはエキソヌクレアーゼVの構造遺伝子である。 RecAタンパク質 DNAの組換…

サイレント変異

遺伝子や遺伝子産物の機能や発現に影響を与えないDNA上の配列変化。突然変異の一種。 遺伝子間の非転写領域に生じる変異や、遺伝子内の非コード領域、発現の制御に影響しない領域に生じる変化、およびコード領域中の同義置換もサイレント変異に含める。

プロテインキナーゼB

Akt 細胞膜受容体刺激によりホスファチジルイノシトール3-リン酸キナーゼを介して活性化されるセリントレオニンキナーゼ。N末端側にPHドメイン、C末端側にキナーゼドメインをもつ。 PKAおよびPKCと高い相同性をもつ。ウイルスの発がん遺伝子v-aktとしても同…

ゼミとヨガ

1限目は物理化学を聴講した。化学ポテンシャルの話。役に立たないエネルギーとか。 昼ご飯は弁当を食堂で上田さんと。今日も馬場先生とご一緒した。 午後からゼミ。試験前の3年次学生が5名。二年生が6人、4年生一人。 乳糖不耐症とアルコール代謝の話 その…

グリコシダーゼ

グリコシド結合を加水分解する。 通常は多糖を分解する酵素(アミラーゼ、セルラーゼなど)と区別するが、境界は厳密でない。 分解するグリコシド結合の配置によりα-またはβ-グリコシダーゼという。 エンド型とエキソ型に区別する場合もある。エキソ型は非還…

スクロースα−グリコシダーゼ

EC 3.2.1.48 スクロース加水分解酵素のひとつ。α-グルコシダーゼの一種。 スクロース分解酵素はスクラーゼ、サッカラーゼ、インベルターゼなどと呼ばれるが、グルコース側から分解する酵素(αグルコシダーゼ)とフルクトース側から分解する酵素(βフルクトフ…

有機化学講義

ちょっと疲労が溜まっている。 昼休みにアドバイザーグループと昼食を取りながらミーティング 午後の有機化学の講義に出席するはずが,小学校から息子を迎えに来て欲しいと電話があり,退席 結局4限目の講義に出た。エーテルの反応の話。難解。電子配置とか…

エンハンサー

真核細胞(およびウイルス)のゲノムに存在するDNA塩基配列。近傍のプロモータの転写を著しく促進するもの。 エンハンサーはシスに作用する。また、プロモーターからの距離、位置関係、方向に大きな影響を受けない。エンハンサー配列中に転写因子(タンパク…

受容体

細胞に存在し、各種生理活性物質を特異的に認識し作用を伝達し発現するタンパク質。 ステロイド、甲状腺ホルモン、ビタミンA、ビタミンDなど、形質膜を自由に通過する伝達物質は細胞内に存在する受容体(細胞内、核内受容体)と結合するが、ペプチド、タン…

伸長因子G

enlongation factor G 原核細胞の翻訳でペプチド鎖伸長に関与する分子量83,000のタンパク質。 GTP存在下でリボソームのA部位のペプチジルtRNAをP部位に移動させる反応を触媒する。これに伴い、P部位のtRNAがE部位に移動しリボソームから離れ、mRNA上を3…

クレノウ酵素

大腸菌のDNAポリメラーゼIをプロテアーゼ(ズブチリシンなど)で限定消化して生じるポリペプチド鎖の一方は5'-3'ポリメラーゼ活性と3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を有するが、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠いており、様々な遺伝子工学実験に用いられる。…

ヌクレオソーム

クロマチンの単位基本構造を指す。最も分散した状態のクロマチンはビーズ状の長く連なった線維構造(10nmクロマチン繊維)である。そのビーズ状の単位構造体をヌクレオソームという。 ヌクレオソームにはヒストン8量体とヒストンH1、および約200bpのDNAが含…

染色体の数

各生物種が持つ固有の染色体数は生物の種類により一定である。 ソラマメ12本(6対)、マウス40本(20対)、ラット42本(21対)、ヒト46本(23対) 体細胞では形の等しい二組の染色体から出来ている。一組は母(雌)から、他は父(雄)から由来したもので、こ…

非ヒストンタンパク質

クロマチン中に含まれるヒストン以外のタンパク質の総称だが、明確な定義はない。RNAポリメラーゼ、転写因子など、DNAポリメラーゼなどは含めず、クロマチン繊維の構造に係わるものをいう。

LINE

長い散在性の反復配列。(Long interspersed element) レトロポゾンの一種。非LTR型レトロトランスポゾンの別名。 ヒトゲノム中に存在するLINEをL1とよびゲノム中の14%を占める。6.5kbあり、2つのORF(逆転写酵素、エンドヌクレアーゼ)を含む。 5’末端に…

SINE

短い散在性の反復配列(Short interspersed element)の略語。レトロポゾンの一種。 7SLを起源とするもの(ヒトのAlu配列など)とtRNAを起源とするもの(他の大多数)に分類される。 約300bpよりなる。新たに増幅したSINEが遺伝病の原因になることがある。ゲ…

CREB

cAMP response element-binding protein はCRE(cAMP response elements)に結合する転写因子。 T細胞の分化、成長ホルモンの産生、長期記憶の形成など様々な生命現症にか如する。 マウスでは分子量43000でロイシンジッパーを介して二量体を形成する。133番…

CpGアイランド

脊椎動物のゲノム上でCpGのジヌクレオチドが豊富な領域。ゲノム全体では100塩基対に一回程度。 ヒトゲノムには29000のCpGアイランドが存在する。平均的な長さは200〜1400bp。多くはハウスキーピング遺伝子と組織特異的遺伝子の5'上流域に見られる。

発現配列タグ

Expressed Sequence Tag; EST 細胞が発現しているmRNAを元に作成したcDNAより得られる。ランダムに選択された部分的な遺伝子の配列情報のこと。ある細胞のゲノムの中で実際に機能している遺伝子の配列情報であり、新しい遺伝子の発見、ゲノムのマッピング、…

構造遺伝子

オペロン説の中で、Jacob FとMonod JLによって唱えられた。 調節遺伝子に対して、タンパク質をコードする遺伝子に与えられた名称。実際には調節遺伝子の産物もタンパク質であったことから、現在は広義に遺伝子全般に用いられる。 (生化学辞典4版、482頁)