凝固因子

血液凝固に関与する血漿中のタンパク質は12種ある。カルシウムイオン、組織因子、リン脂質を加えて15種類を凝固因子とする。

  1. フィブリノーゲン(I因子)
  2. プロトロンビン(II因子; EC:3.4.21.5)分子量7.2万の糖タンパク質。V因子、Ca2+リン脂質の存在下にX因子による限定分解でトロンビンとなりフィブリノーゲン、XIII因子を活性化する。
    • Thrombin, which cleaves bonds after Arg and Lys, converts fibrinogen to fibrin and activates factors V, VII, VIII, XIII, and, in complex with thrombomodulin, protein C. Functions in blood homeostasis, inflammation and wound healing.
  3. 組織因子(III因子)分子量4.7万の糖タンパク質。VII因子の補助因子としてX因子、及びIX因子の活性化。
  4. カルシウムイオン(IV因子)
  5. 不安定因子(V因子)トロンビンにより限定分解されて活性化される。X因子によるプロトロンビン活性化の速度を上昇させる補酵素として作用する。
  6. VII因子(分子量5万、タンパク質)ビタミンK依存性。血流中にあるセリンプロテアーゼ。Ca2+存在下に組織因子と結合し、X因子、IX因子を活性化する。活性化X因子により活性化を受ける。
  7. 血友病因子(VIII因子)IX因子によるX因子限定分解を活性化する補酵素としてテンナーゼ複合体の構成要素となる。
  8. クリスマス因子(IX因子):ビタミンK依存性セリンプロテアーゼ前駆体。VII因子、組織因子、リン脂質、Ca2+存在下にXI因子により活性化を受ける。VIII因子、リン脂質、Ca2+とともにテンナーゼ複合体としてX因子を活性化する。
  9. X因子(分子量5.9万のタンパク質)ビタミンK依存性。内因系テンナーゼ(VIII因子、IX因子、リン脂質、Ca2+)または外因性テンナーゼ(VII因子、組織因子、リン脂質、Ca2+)により活性化され、V因子、リン脂質Ca2+とともにプロトロンビンを活性化する。同時にVII因子を活性化し、正のフィードバックをおこなう。
  10. XI因子(分子量16万のタンパク質)血漿トロンボプラスチン前駆因子。活性化XII因子により限定分解される。Ca2+存在下にIX因子を限定分解する。セリンプロテアーゼ。
  11. ハーゲマン因子(XII因子)カリクレイン、プラスミンなどにより限定分解を受けて活性化され、XI因子を限定分解する。アンチトロンビンIII、C1インヒビターによる阻害。
  12. フィブリン安定因子(XIII因子)トロンビンで活性化され,フィブリンのグルタミンとリシンの間に架橋を形成するトランスグルタミナーゼ活性をもつ。
  13. プレカリクレイン(分子量8.5万のタンパク質)活性化XII因子によりカリクレインに変換する。XII因子を活性化し、正のフィードバックを形成する。
  14. 高分子キニノーゲン(分子量12万のタンパク質)プレカリクレインとともにXII因子の活性化を助ける。XI因子の活性化を助ける。

(生化学辞典第4版より)