ヘモグロビンのコンホメーション

  1. ヘモグロビンはT状態(デオキシヘモグロビン)とR状態(オキシヘモグロビン)の二つの状態を取る。
  2. 鉄イオンに酸素が結合するとヘムが動いて三次構造が変わりR状態に変化する。
  3. 他の3つのサブユニットのコンホメーションもR状態に変わる。
  4. T状態のヘモグロビンはαとβのc末端アミノ酸はそれぞれイオン対を作って安定化しているが、R状態でイオン対が解離する。

R状態を作ると様々な解離基のpKが低くなり解離しやすくなる。つまり、生理的条件では酸素が一分子結合すると0.6個のプロトンを放出する。逆に、プロトンが減ると(pHが上昇すると)酸素が結合しやすくなり、pHが下がると酸素は解離しやすくなる。【ボーア効果】

炭酸脱水酵素

Carbonic anhydrase
CO2 + H2O <===> H+ + HCO3-
つまり、血液中の二酸化炭素は炭酸脱水酵素により重炭酸イオンとして存在する。pHが下がる(水素イオン濃度が上がる)と平衡は左に傾いて重炭酸イオンは二酸化炭素となり気泡を生じる。
末梢では重炭酸イオンの生成に伴い生じる水素イオンがボーア効果を惹起し、ヘモグロビンはT状態となり酸素親和性が低下する。(末梢で酸素を手放す)
肺では酸素分圧が高く、ヘモグロビンはR状態となり、水素イオンを放出する。炭酸脱水酵素の平衡は左に傾いて重炭酸イオンから二酸化炭素ガスを生じる。
pHの変化を抑制し、ガス交換を可能とする。