有機溶剤中毒予防規則

第一章 総則(第一条―第四条の二)

  • 定義等(第1条)
    1. 有機溶剤(労働安全衛生法施行令別表第六の二)
    2. 有機溶剤等(重量5%を超えて含有)
    3. 第1種有機溶剤等(一・二―ジクロルエチレン(別名二塩化アセチレン)、二硫化炭素)
    4. 第2種有機溶剤等(労働安全衛生法施行令別表第六の二 1-47(第1種を除く))
    5. 第3種有機溶剤等(別表第六の二の残り 48-55)
    6. 有機溶剤業務
      • 有機溶剤等を用いて行う試験又は研究の業務(を含む)
    • 令第6条(作業主任者を選任すべき作業)令第22条(健康診断を行うべき有害な業務)に定められた有機溶剤業務を行う場所
      • 屋内作業場(第11の前半部分)
(適用除外)
  • 適用の除外(第2条)
    • 対象となる条文
    • 対象となる業務(第1条第1項第6号ル 有機溶剤等を用いて行う試験又は研究の業務 を含む)
      1. 屋内作業場等*1で、1時間に消費する有機溶剤等の量が、有機溶剤の区分に応じて計算した「有機溶剤等の許容消費量」を超えないとき。(一般の実験室は、通風が不十分なタンク内の作業と同じ扱いになる)
      2. 通気の不十分な屋内作業場では、1日に消費する有機溶剤等の量が許容消費量を超えない。
  • 除外を受ける条件(第3条)
    • 作業1時間あたりの消費量が許容消費量を常態としてこえないとき、所轄の労働基準監督署長の認定を受ける。
参考

有機則の適用除外(第2条と第3条の違い) – 西湘H&S(ハンズ)

・有機溶剤中毒予防規則の施行について(◆昭和35年10月31日基発第929号)

  • 2 第2条及び第3条関係
    1. (1) 第2条及び第3条は、ともに有機溶剤等の消費量が少量の場合における適用除外を規定したものであるが、第2条の規定は、作業時間1時間又は1日に消費する有機溶剤等の量が有機溶剤等の許容消費量をこえない状態が一時的のものであっても適用されるのに対して、第3条の規定は、常態としてか又は常にそのような状態にある場合に限り適用されるものであること。
    2. (2) 「通風が不十分な屋内作業場」とは、天井、床及び周壁の総表面積に対する窓その他の直接外気に向って開放しうる開口部の面積の比率が3パーセント以下の屋内作業場をいうこと。
    3. (3) 「作業時間一時間に消費する有機溶剤等の量」は、1日に消費する有機溶剤等の量を当該日の有機溶剤業務を行なう作業時間で除した平均値で足りるものであること。
    4. (4) 有機溶剤等の許容消費量の算式は、それだけの量の有機溶剤等がすべて蒸発した場合でも、その空気中における濃度が最大許容濃度をこえないよう、次の算式に、有機溶剤等の区分に応じて、それぞれ代表数値を代入し、それを計算して導いたものであること。
    5. (5) 第2条第2項の「労働大臣が別に定める数値」は、有機剤含有物を用いて有機溶剤業務を行なう場合において、その消費量のうちから有機溶剤以外の物を除くことにより蒸発する有機溶剤の量をは握しようとする趣旨に基づくものであって、有機溶剤含有物の成分に応じて、別途告示をもって定める予定であること。
    6. (6) 第3条第1項第1号中、「常態としてこえないとき」とあるのは、一時的にこえることはあっても、通常の状態としてこえなければ足りる趣旨であること。これに対して、同項第2号において「常にこえないとき」とあるのは、タンク等通風が不十分な場所においては、一時的にこえる場合であっても、急性中毒が発生するおそれがあることによるものであること。
    7. (7) 第3条の規定による適用の除外について、所轄労働基準監督署長の認定を受けるべきこととされた趣旨は、第3条第1項各号に規定する事実の存否をすべて使用者の判断に委ねるときは、その恣意的判断を誘い、本規定の適用関係が不明確になるおそれがあるため、あらかじめ所轄労働基準監督署長をして当該事実を確認せしめることにより、本規則の厳正な運用を確保しようとしたものであること。
  • 除外認定の手続き(第4条)
    • 事業者が作業場の見取り図を添えて所轄労働基準監督署長に申請書を提出する。
  • 測定業務が除外される条件(第4条の2)
    • 化学部室管理専門家が配属され、適切な管理を行ない、事故なく違反も犯していない。

第二章 設備(第五条―第十三条の三)

  • 第1種・第2種有機溶剤に関わる設備(第5条)
    • 密閉装置、局所排気装置、プッシュプル型換気装置
  • 第3種有機溶剤に関わる設備(省略)
  • 屋内作業場で開放的な場合の適用除外(第7条)
    • 周壁の2側面以上(面積の半分以上)が外気に向かって解放されている。
    • 作業場に痛風を阻害する壁や衝立がない。
  • 臨時作業の場合は、第5条は適用しない(第8条)
  • 短時間の作業の特例(第9条)
    • 屋内作業で全体換気装置が設置されている場合、短時間であれば5条は除外される。
    • タンク内では「送気マスク」を備えれば除外される。
  • 広い範囲で局所排気装置の設置が困難な場合(第10条)
    • 壁や天井など広い場合は、全体換気装置を設置すれば良い。
  • 他の屋内作業場から隔離されている場合(第11条)
    • 全体換気装置があれば良い
  • その他様々な特例(第12条から第13条)

設備に関する適用の除外(7条〜13条)

第三章 換気装置の性能等(第十四条―第十八条の三)

  • 局所排気装置の設置方法・性能(14条〜16条)
  • プッシュプル式換気装置の性能
  • 全体換気装置の性能(17条)
  • 装置の稼働(18条)

第四章 管理(第十九条―第二十七条)

  • 有機溶剤作業主任者の選任(第19条)
  • 有機溶剤作業主任者の職務(第19条の2)
  • 局所排気装置の定期自主検査(第20条)
    • 1年ごとに検査する(使っていない場合は検査不要)
  • 自主検査の記録と保存(第21条)
  • 使用開始時、修理時の点検(第22条)
  • 点検で異常があれば補修すること(第23条)
  • 有機溶剤業務に関する掲示(第24条)
  • 有機溶媒の区分を色で表示する(第25条)
  • タンク内作業に関すること(第26条)
  • タンク内での事故時の退避、立ち入り禁止(第27条)

第五章 測定(第二十八条―第二十八条の四)

  • 測定(第28条)
    • 有機溶媒に関わる業務のうち、屋内作業で消費量が許容消費量を状態として超えない業務を除く。
    • 6ヶ月に1回ごと、有機溶媒濃度を測定する
    • 記録に残し、三年間保存
  • 速やかに測定結果の評価を行う(第28条の2)
    • 第1管理区分から第3管理区分まで
    • 評価の記録(三年間)
  • 第3、第2管理区分の場合は改善措置を講じる(第28条の3及び4)

第六章 健康診断(第二十九条―第三十一条)

  • 健康診断(第29条)
    • 屋内作業場における有機溶媒業務
    • 雇入時、配置換えの際、その後は6ヶ月ごと
    • 別表の内容に従う
  • 検診結果は「有機溶剤等健康診断個人票」を作成し、五年間保存(第30条)
  • 検診結果に基づく医師からの意見聴取(3ヶ月以内)(第30条の2)
  • 検診結果を労働者に通知(第30条の3)
  • 所轄労基署へ検診結果報告(第30条の3)
  • 事故時は医者の診察を受けさせる(第30条の4)
  • 健診の特例(第31条)
    • 三年以上健診に異常がなければ、所轄労基署署長の許可により健診を行わないことができる

第七章 保護具(第三十二条―第三十四条)

第八章 有機溶剤の貯蔵及び空容器の処理(第三十五条・第三十六条)

  • 有機溶剤等の貯蔵(第35条)
    • 蓋または栓をした丈夫な容器で、関係者以外立ち入り禁止、蒸気を屋外に排出する装備を備える
  • 空容器の処理(第36条)
    • 密閉し、一定の場所に集積する。

第九章 有機溶剤作業主任者技能講習(第三十七条)

労働安全衛生法施行令別表第6の2有機溶剤】(第六条、第二十一条、第二十二条関係)

  • 第一種:28と38
  • 第2種:1から(28と38を除く)47まで
  • 第3種:47から55まで
  1. 一 アセトン
  2. 二 イソブチルアルコール
  3. イソプロピルアルコール
  4. 四 イソペンチルアルコール(別名イソアミルアルコール)
  5. 五 エチルエーテル
  6. エチレングリコールモノエチルエーテル(別名セロソルブ)
  7. エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名セロソルブアセテート)
  8. エチレングリコールモノ―ノルマル―ブチルエーテル(別名ブチルセロソルブ)
  9. エチレングリコールモノメチルエーテル(別名メチルセロソルブ)
  10. 十 オルト―ジクロルベンゼン
  11. 十一 キシレン
  12. 十二 クレゾール
  13. 十三 クロルベンゼン
  14. 十四 削除
  15. 十五 酢酸イソブチル
  16. 十六 酢酸イソプロピル
  17. 十七 酢酸イソペンチル(別名酢酸イソアミル)
  18. 十八 酢酸エチル
  19. 十九 酢酸ノルマル―ブチル
  20. 二十 酢酸ノルマル―プロピル
  21. 二十一 酢酸ノルマル―ペンチル(別名酢酸ノルマル―アミル)
  22. 二十二 酢酸メチル
  23. 二十三 削除
  24. 二十四 シクロヘキサノール
  25. 二十五 シクロヘキサノン
  26. 二十六 削除
  27. 二十七 削除
  28. 二十八 一・二―ジクロルエチレン(別名二塩化アセチレン)
  29. 二十九 削除
  30. 三十 N・N―ジメチルホルムアミド
  31. 三十一 削除
  32. 三十二 削除
  33. 三十三 削除
  34. 三十四 テトラヒドロフラン
  35. 三十五 一・一・一―トリクロルエタン
  36. 三十六 削除
  37. 三十七 トルエン
  38. 三十八 二硫化炭素
  39. 三十九 ノルマルヘキサン
  40. 四十 一―ブタノール
  41. 四十一 二―ブタノール
  42. 四十二 メタノール
  43. 四十三 削除
  44. 四十四 メチルエチルケトン
  45. 四十五 メチルシクロヘキサノール
  46. 四十六 メチルシクロヘキサノン
  47. 四十七 メチル―ノルマル―ブチルケトン
  48. 四十八 ガソリン
  49. 四十九 コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む。)
  50. 五十 石油エーテル
  51. 五十一 石油ナフサ
  52. 五十二 石油ベンジン
  53. 五十三 テレビン油
  54. 五十四 ミネラルスピリツト(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリツト、ホワイトスピリツト及びミネラルターペンを含む。)
  55. 五十五 前各号に掲げる物のみから成る混合物

*1:タンク等の内部(地下室の内部その他通風が不十分な屋内作業場、船倉の内部その他通風が不十分な船舶の内部、保冷貨車の内部その他通風が不十分な車両の内部又は前条第二項第三号から第十一号までに掲げる場所)以外