校正2

B-16 遺伝暗号のしくみはどうなっているのか?

学生の理解を深めるための重要ポイント

遺伝暗号の解明が進む前に、サプレッサー効果が明らかになることで遺伝暗号が隙間無く並んだ三文字を単位にしていることが予想されていた。

KeyWords
  • コドン
  • 開始コドン
  • 終止コドン
  • 縮重性
  • 読み枠
表2重要ポイント

メチオニン(Met)とトリプトファン(Trp)を除くアミノ酸には複数の遺伝暗号が割り当てられており、これを縮重性という。従って、遺伝子の塩基配列からタンパク質のアミノ酸配列を決めることは出来るが、アミノ酸配列から塩基配列を決めることは出来ない。終止コドンは三通り割り当てられているが、いずれもアミノ酸に対応していないことに注意。

B-9 染色体とはどのようなものか?

図3

長大なDNA分子はヒストンタンパク質に巻き付いてヌクレオソーム構造を取り、規則正しく折りたたまれて、染色体を形作る。ゲノムDNAはヒストン、非ヒストンタンパク質との複合体であり、クロマチンを形成している。

図4

ヌクレオソームは4種類のヒストンタンパク質が2つずつ組み合わさったヒストン8量体をコアとしてDNAが二重に巻き付いている。H1ヒストンは巻き付いたDNAの留め金として働いている。

B-5 核酸にはどのような種類があるか?

臨床とのつながり

ミトコンドリアゲノム上の電子伝達に関わる遺伝子の変異に基づく「ミトコンドリア病」が知られている。エネルギー産生に異常を来すことから、骨格筋、神経、心筋に異常を呈することが多い。ミトコンドリアゲノム上の点突然変異に基づく発症の場合、遺伝形式は母系遺伝となりメンデルの法則に従わない。受精の際に精子ミトコンドリアを持ち込まないため、受精卵のミトコンドリアは全て卵由来であるためである。

図2 mRNAの構造

mRNAは合成後に修飾を受け、5'メチルグアノシンのキャップ、3'ポリAテールという特徴的な構造をもつ。

RNAの大きさは沈降係数で表す

遠心分離器を用いて細胞の成分を分画する際に用いられる沈降係数を用いてrRNAを区別する習慣が今も続いている。沈降係数Sと粒子の沈降速度(cm/hr)と遠心力(g)には以下の関係がある。
沈降速度(cm/hr)= 3.53 x 10-6 x S x g
すなわち、沈降係数から、ある遠心力で何時間遠心分離をすると試料から粒子が何センチ移動するか計算できる。

図3 rRNAの前駆体と合成

5SrRNAを除く三種類のrRNA(28S、18S、5.8S)は45Sの前駆体として合成された後にヌクレアーゼで切り出される。このため、これら三種類のrRNAは細胞内で同じ分子数合成されることになる。5SrRNAのみが別に合成されてリボソーム大サブユニットに加えられる。